武雄市図書館のデータを開館当初で比較する
広報たけお 2000年(平成12年)第834号(11月発行)に、武雄市図書館・歴史資料館開館時の様子が紹介されていますが、市民が前面に出ているところが、蔦屋スタバ館と対照的だなと感じました。 warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid… (PDF) #takeolibrary
— MAEDA Katsuyukiさん (@keikuma) 2013年5月3日
けーくまさんは、こういうのを見つけてきてしまうので困ったものである。
また、考察しなければいけないじゃないですか(笑
Tweetの中のリンクは国立国会図書館のインターネット資料保存事業によって収集されている。2000年11月の武雄市広報[PDF]である。
武雄市図書館が現在の建物で開館したのが2000年の10月のことです。
佐賀県武雄市の問題について:takeoproblem > 03:武雄市図書館 > 08:旧図書館に関して
建造してから10年少々しか経っていない図書館を、果たして国費を投入してまで改修する必要があったのか?という問題についてはここでは触れませんので、こちらを参考にしてください。
武雄市図書館のTSUTAYA化に国費2億円の投入が決定してしまったのでより広く議論しませんか? #takeolibrary
そして、本題。
この広報の中に図書館開館に関する記載があったので切り出してみました。
開館初日10月1日は5,500人が入館![PDF]
前回に書いた『武雄市における『延長』と『短縮』に関しての考察 』と、前々回に書いた『Fakeな統計』では、CCCのプレスリリースを元にして色々と書いたわけですが、そもそもCCCのプレスリリースの比較対象が昨年度であることは、考察する際に公平性を欠くと感じるわけですよ。
やはり、開館当初のデータ同士で検証しないといけませんよね。
CCC発表のデータ(2013/4/1~30の実績)によると、
1日あたりの平均来館者数は3,312人で貸出冊数は1,866冊
2000年11月の武雄市広報のデータ(2000/10/1~20の実績)によると、
1日あたりの平均来館者数は2,077人で貸出冊数は1,341冊
となります。
上記のデータから、来館者のうち貸出利用した割合を概算で求めてみます。
改装後に関しては、
1,866÷3,312=0.56340.....
ということで、56.34%の方が書籍を借りた計算になります。
2000年10月のオープン時に関しては、
1,341÷2,077=0.64564.....
ということで、64.56%の方が書籍を借りた計算になります。
来館者数に関しては正味ではなく延べ数でしょうし、一人あたり何冊を借りているかのデータは存在しませんので、少々無理矢理な計算になりますが、こういう推察が出来ないことはありません。
それと、もう一つ検証しようと思っているのですが、双方の開館当初データの差異。
来館者数の差:1,235人
貸出冊数の差:525冊
来館者数の差の部分には「開館時間延長の効果」+「スタバ&TSUTAYAの効果」が存在すると推察出来ます。
また、貸出冊数の差に関しては「開館時間延長の効果」は存在しますが、商業施設の存在による効果は軽微であると考えることが可能です。
双方の寄与率を求めて除算することにより、商業施設の部分だけの寄与率が出せるのではないかという推論を立てて検証しようと考えているわけですが、今日はお出かけの用事があるので次の機会に。
※追記
このブログは「次の機会に」と書いてあるように、続きを書く際に『実は』と、更なる種明かしをしてから書き始める予定だったのだが、さすがに図書館関係の方にはバレてしまったようだ(笑
@seijimatsuda1 とりあえず23年度のデータ=貸出一人あたりの貸出冊数4.1冊から推計して、割合を4.1で割る必要があります。pref.saga.lg.jp/web/var/rev0/0… 開館当初は常連利用者より一見さんが多いため、貸出一人あたりの貸出冊数はやや低い傾向はあります。
— 新出さん (@dellganov) 2013年5月4日
さすが、鋭いというか本職の「感覚的数値」にはかなわない。
そもそも、本文中にも書いてあるが、図書館に来て貸出利用する方が1冊だけ借りていくことは考えづらいのだ。
実際には手元に佐賀県の統計データがあり、指摘された方の数値とは若干の誤差があるが、平成23年度の年間貸出冊数は352,312冊で年間館外貸出利用人員は82,539人となり、貸出利用人員1人あたりの貸出冊数は「4.27冊」となる。
これは、統計データとして館外貸出利用人員数のデータが存在するので求めることが出来るのである。
だが、現状の新図書館においては館外貸出利用人員数は公開されていない。
なので、次回はこの「4.27冊」という数字を推定論拠として、諸々の考察をしたいと思います。
武雄市における『延長』と『短縮』に関しての考察
先日書いた「Fakeな統計」の中で利用したCCCのリリースの中に、新・図書館の延長時間帯来館者状況というデータがあります。
恐らくこのデータを載せている目的は、昨年度と比較して「これだけ多くなってますよ~」ということを提示したいのでしょうね。
しかし、こういうデータを出されると検証をしてみたくなりますよね?(私だけ?)
誰でも理解出来るように「算数」だけで検証してみますので、ついてきてくださいね。
では、諸々の前提条件を考えてみましょう。
現在の武雄市図書館の開館時間は9~21時の12時間ですが、以前までは10~18時の8時間だったので、4時間ほど開館時間が増加していることになります。
※厳密に言えば金曜日は10~19時の9時間なのですが、CCCの項目の中にそれについて触れておらず、旧図書館の時間外利用の中に数字として明記されていないので、あえてその部分は無視します。
4月の利用者数の合計は99,358人、1日あたり3,312人が訪れた計算になることが明記されていますので、この1日あたりの人数を母数として考察しようと思います。
※先ず最初に断っておきますが、この考察は『多少無理矢理な部分』があります。
※何故、無理矢理な考察を行うのかについての理由は後述しますので、途中まで読んで「考察としておかしいじゃんっ」とキレないようにお願いします。
9~21時間の12時間の開館ということは、1時間あたりの平均来館者数を求める場合、単純に12で割ることになります。
100÷12=8.333333.....
つまり、1時間あたり約8.33%ということですね。
それを母数である3,312人から換算すると、
3312✕0.0833=275.8896
1時間あたり275.89人が訪れる計算になります。
この数字に、開館時間として伸びた4時間、つまり4を乗じると、
275.89✕4=1,103.56
1,103.56人という数字が出てくることになりますが、CCCから公表された数字によると延長された時間帯の利用者は607人です。
こんな計算をするまでもなく、母数である1日あたりの来館者3,312人のうち、延長時間帯の来館者の607人は、
607÷3,312=0.18327....
18.33%となるわけですが、数字の中身を理解していただくために、わざと回りくどいことをしています。
結果としては、本来であれば12時間の中で4時間は、開館時間の1/3にあたりますので、
100÷3=33.3333....
33.33%となる部分の実質が18.33%であるということがわかりました。
先ず、ここまでを理解していただかないと、この続きで混乱するかもしれません(笑
さて、途中で種明かしをすると、先に書いたようにこの考察に無理があるのは、時間帯によるバラツキというのを「前提条件として考慮していない」部分にあります。
普通に考えれば、『遅い時間帯の図書館の利用者の割合が、平均値より低くなるのは当然のことである』という前提を欠いているわけですね。
樋渡啓祐市長の発言の中にも「早い時間帯は混んでいる」と同時に「夜は比較的空いている」というのがあります。まあ、当然のことです。
※togetterより『宵闇の図書館への誘い』
では、何故あえてこのような無理矢理な考察をしたかというと、もうひとつの考察と比較するためです。
もうひとつの考察と検証
※佐賀新聞のニュースサイトより『武雄市長選・市議選 投票2時間短縮 午後6時まで』
武雄市の選挙管理委員会は、改正公選法施行により2時間延長された投票時間の短縮を決定しました。
その理由として「延長が投票率の大幅アップにはつながっていない」「期日前投票の存在」「経費削減」「開票結果を早く出せる」ということを提示しています。
果たして「開票結果を早く出せる」ことを市民が望んでいるのかは疑問ですが、コスト削減のための副産物だろうと判断し、この部分には言及しません。
また、選挙という重要性の高さに対して100万のコスト削減というのは、個人的には微々たるもののような印象を受けますが、その部分にも言及しません。
もうひとつの考察は「延長が投票率の大幅アップにはつながっていない」という部分に関してです。
前提条件として、短縮前の投票時間は7~20時の13時間となります。
そして、ニュースサイトの中には2006~2008年のデータが存在しますが、直近の2008年のデータを利用して考察します。
2008年のデータによると、18~20時の投票者の当日有権者数に対する割合は5.44%となっています。
では、その2008年の選挙のデータがどういうものであったか?ということですが、こちらにまとめてあります。
『佐賀県武雄市の問題について:takeoproblem > 01:樋渡啓祐という人物 > 02:市長選』
2008年の有権者数は40,978人。この5.44%にあたる人数は、
40,978✕0.0544=2,229.2032
2,229.2人になります。
さて、有権者数からのパーセンテージは5.44%ですが、投票者数を母数として考えた場合はどうなるでしょう?
2008年の選挙の投票者数は29,028人ですので、
2,229.2÷29,028=0.076794....
当日の投票者の中の約7.68%が18~20時に投票されたことなります。
ぼちぼち、考察の方向性がわかってきましたか?(笑
更に、投票時間は13時間だったわけですから、それを1時間あたり平均で考えると、
29,028÷13=2232.9230.....
2,232.92人になります。
当然、1時間あたりのパーセンテージは、
100÷13=7.69230....
ですので7.69%になるわけですね。
では、以上2つの考察をまとめてみましょう。
図書館
- 開館時間12時間なので、1時間あたり8.33%
- 来館者3,312人の母数から、1時間あたり275.89人
- 延長された4時間で換算すると33.33%で1,103.56人になるが
- 実績は607人で18.32%
実質、4時間延長することで、およそ2.1時間分の寄与。
延長された時間の1時間あたりの全体への寄与率は4.58%となる。
2008年選挙
- 投票時間13時間なので、1時間あたり約7.69%
- 投票者29,028人の母数から、1時間あたり2,233人
- 短縮された2時間で換算すると15.38%で4,466人になるが
- 実績は2,229人で7.68%
実質、2時間短縮したことで、およそ1時間分の損失。
短縮された時間の1時間あたりの全体への寄与率は3.84%となる。
感覚的に違和感を覚えた数字から考察して、わかりやすいデータが出せて良かったなと思っていますが、よく考えていただきたいのは、
「恒常的に利用される図書館」の開館時間の延長。
「数年に一度しかない選挙」の投票時間の短縮。
もちろん、人によって考え方は様々だとは思いますが、個人的に感じる重要性から鑑みると、どうもチグハグな印象しか残らない考察となりました。
でも、そもそも図書館利用と選挙の投票は比べるようなものじゃないですねえ。
面倒な検証でした(笑
ちなみに、投票時間における投票率のバラツキに関しては、総務省が発表している『目で見る投票率(PDF)』が参考になりますが、18時台と19時台の合計は6.4%ですので、武雄市のその時間帯の投票率は高いものであったと考えることも出来ますね。
Fakeな統計
2013年5月1日に武雄市図書館・歴史資料館 来館者数が本日正午10万人突破というリリースがCCCから発表された。
これ、統計を知っている人なら理解出来ると思うのですがヒドイのですよ。
2012年(平成24年)度(昨年)のデータと2013年(平成25年)度(今年)のデータを比較しているのですが、先ず昨年度データは現時点で公表されていないものなのです。
武雄市に関して言えば統計データの信頼性が欠ける発表を毎度しているので、CCCの今回のデータも信用に値しないと思っているわけですが、更に現時点で公開されていないデータとの比較情報なので、一体何を信用して良いのやら?という感じです。
※参考:佐賀県武雄市の問題について:takeoproblem>03:武雄市図書館>05:アンケート
しかし、昨年と今年の公式な統計データは存在しませんので、CCCのデータを基準に考えようと思ったわけですが、リリースを見た瞬間にヒドイのですよ。
対前年度比のパーセンテージに注目していただくと、累計の部分と1日平均の部分でパーセンテージに差異があるのがわかると思います。
『累計÷1日平均』で計算するとわかりますが、2012年度の開館日数は28日で2013年度は30日なわけですから、累計数字のパーセンテージに差異が出るのが当然なわけです。
統計データを扱う際の公平性を考えるならば、こういう誤読を誘う提示の仕方はしません。
来館者数467%・貸出数206%という数字だけでも、前年度比を見せる際には充分であるにも関わらず、開館日数が違うため比較するべきではない累計データを出す必要性は無いでしょう。
こういう出され方をすると「そうしなければいけなかった意味」というのを裏読みしたくなるのが人情ですね(笑
では、期待に応えて裏読みしてみましょう。
2012年(平成24年)度の公式なデータが存在しませんので、2011年(平成23年)度のデータとCCC発表のデータで比較してみます。
※以降、平成年度で統一。
先日書いた貸出冊数は伸びているのか? のデータから変化のある部分としては、貸出のための登録者数のパーセンテージ。
前回の市長のブログでは「市内56%・市外44%」だったものが、今回の発表では「市内53%・市外47%」になっています。
というわけで、「市民の利用」という観点からその割合を概算で代入し、単純計算をします。
平成23年度データ
1日あたりの来館者数:867人
1日あたりの貸出冊数:1,194冊
CCC発表の現時点のデータ
1日あたりの来館者数:3,312人
1日あたりの貸出冊数:1,866冊
そして、CCC発表データの内の市民の割合(概算値)
1日あたりの来館者数:1,755人
1日あたりの貸出冊数:989冊
平成23年度の公式な統計データと、CCCの発表データに市民の割合を概算値として代入したものを比較すると、来館者数は倍になっているものの貸出冊数は減少している結果になりました。
個人的には「貸出至上主義」な考え方を持ってはいませんが、この数値を見る限りでは現在来館している方々の目的は図書館では無いようです。
ネット上の声を拾う範囲では、武雄市の図書館に関して「図書館としての賛美の声」は聞こえてきません。
聞こえてくるほとんどがスターバックスや見栄えへの賛美。
そして、内装こそ変化はあったものの、基礎となる建物は10年前に建てられたものです。
佐賀県武雄市の問題について:takeoproblem>03:武雄市図書館>08:旧図書館に関して
現状の登録者のパーセンテージの件も含め、これが樋渡啓祐市長の言うところの、市民価値や市民福祉の向上になっているのでしょうか?
※5/2追記
CCCの発表データのパーセンテージ表示が、小数点以下が明示されているものと、されていないものがある。こういう表記の仕方も普通はしないよね?
貸出冊数は伸びているのか?
利用登録者の44%が市外居住者で、貸出数が2.2倍ということは、休館と開業効果を考えると、市民への貸出は実はあんまり増えていないんじゃという気がするのですが。 / 民間と公共融合「手応え」 武雄市図書館 saga-s.co.jp/news/saga.0.24… #takeolibrary
— MAEDA Katsuyukiさん (@keikuma) 2013年4月29日
そうそう。
計算しようと思って忘れてました。
先日書いた「武雄市図書館の市民の利用率」でも引用した、佐賀県武雄市の樋渡啓祐市長のブログに書かれているデータも使って計算してみましょう。
図書館の利用者登録者状況:市内56%・市外44%
貸出冊数23日間:44,000冊・一日あたり1,913冊
ということは、あくまでも単純計算すると1,913冊の56%なので、新図書館において市内の貸出冊数は1,071冊となります。
武雄市の図書館の統計データによると、平成23年度の貸出合計は352,312冊。
そして、これを開館日数295日で割ると平成23年度の貸出冊数は一日あたり1,194冊となります。
詳細なデータが存在しないので単純計算なわけですが、果たしてこの数字をどう見るべきでしょうかね?
報道ではなく提灯バラエティだったね
昨日、4/28にバンキシャで武雄市の図書館の件が放映された。
そもそも4/7に放映予定だったものが3週間遅れての放映である。
放送予定だった4/7の前に、バンキシャの情報提供・意見・感想のページから、私がまとめているサイトの情報を提供し、問題部分についても取り上げていただきたい旨を送っていたのだが、「予想通り」そういう部分には触れられていなかった。
真相報道 バンキシャ! 「武雄市図書館がリニューアルオープンした。その1か月に迫る」の感想ツイート
まあ、バンキシャ自体が期待出来るメディアではないことはわかっていたので、特にがっくりもしていないのだが、「真相報道」などという前置きを外して「三流ニュースバラエティ バンキシャ!」くらいにしていただきたいと真剣に思っている。
もちろん、昨日の時点でも以下の内容をメールアドレスまで付けてポストしたわけだが、結局は何の反応も無くネガティブ意見には耳をふさぐ報道がされたにすぎない。
佐賀県武雄市、および市長についての問題をまとめている者です。
https://sites.google.com/site/takeoproblem/
今夜、延期になっていた賀県武雄市の図書館についての放送があるようですね。
以前にも情報を提供させていただきましたが、その後それがどのように反映された上で放送されるか興味を持って拝見させていただきます。
過去、様々なTVで武雄市の件を取り扱っていますが、正直なところ体制に阿った提灯番組でしかないという印象を持っております。
最も多く報道されているのは図書館の件についても、取材をきちんとされていると思ったことは一切ありません。
https://sites.google.com/site/takeoproblem/library
また、市長自身の問題について触れている番組に関しては全く記憶がありません。
https://sites.google.com/site/takeoproblem/0-tong-du-qi-youtoiu-ren-wu/05-dong-henado
バンキシャがバラエティ番組であるならそれでも良いと思いますが、報道番組という自負があるのであれば、公平に問題部分にも迫った内容になっていることを期待します。
また、放送された内容に関しましては、著作権法に触れない範囲で引用した上で、本まとめサイトにエントリーさせていただくかと思いますのでご了承ください。
意見に耳をふさぐという姿勢を見る限り、バンキシャと樋渡啓祐市長は同じカテゴリーの中にいると考えても良さそうだ。
放送の中で樋渡啓祐市長が「批判に耐えられないものは残らない」などと言っていたが、批判を聞かないように(しかも、それを閲覧者に見えないように情報操作)しているのだから耐える以前の問題だろう。
ちなみに私自身は私の活動を「批判」だとは認識していない。
何故なら、まだ「施策として評価出来る状態ではない」からで、あくまでも「意見提示」だと考えている。
ただし、施策として動き出す前の「プロセス」と「市民へのコンセンサスの在り方」に関しては批判しているけどね。
意見を聞く姿勢が無い行政や番組が、今後、様々な情報が伝播していくことで、本当に残ることが出来るかどうかをじっくり見守るつもりだ。
今は諸々の情報が広まっていくシーンで、本当に批判が出てくるのはこれからのはず。
まだ、始まったばかりなんだよ?
武雄市図書館の市民の利用率
武雄市の図書館問題の中で、よく話題になる「市民の利用率」の話。
1%っていつ言ったっけ?非公式に聞いて18〜20%という言い方はしますが。根拠を教えてください。 RT @nut320 言う度に市民の利用率が変わっているそうですが(1%~20%)、どれが本当の数字ですか? RT @hiwa1118:
— 武雄市長 樋渡啓祐さん (@hiwa1118) 2013年2月2日
上記の発言は佐賀県武雄市の樋渡市長が徳島大学で行った、徳島ICT研究協議会での講演において「市民の図書館利用率は1%」という発言があったことを受け、それを質問した人に対しての回答のTweetである。
ちなみに、徳島ICT研究協議会講演については諸々の問題が出ているが、ここでは触れないので興味のある方は以下を参照していただきたい。
佐賀県武雄市の問題について:takeoproblem > 07:徳島ICT研究協議会での講演問題
講演においての「1%」発言に関しては、あの市長のウケ狙い発言であろうことは、毎度のことなので理解出来ないでもない。
ところで、彼の言うところの「非公式に聞いて18~20%」という数値は何を根拠にしているのだろう?
こちらは、昨日書かれた樋渡市長のブログである。
この中に、「利用者登録者数:12,525人」という記述がある。
以前、佐賀県から公表されている統計データを元に武雄市の旧図書館の検証をしたことがあったが、その統計データには利用登録者数の記載は無かった。
そこで、以前に武雄市に開示請求をかけた方の資料を紐解いてみたところ、その中に「個人登録者数:36,184人」という記述を見つけた。
武雄市図書館システム仕様書[PDF] ※「武市教文生第92号開示」
平成24年3月31日ということは、平成23年度実績ということになる。
平成23年度の統計データによると武雄市は「人口:50,410人」なので、人口に対しての登録率は71.8%となり、この数字は「市民の利用率」ではない。
単純に考えれば、市民の20%ということは10,082人ということになるわけだが、個人登録者のうちの27.9%が書籍の貸出を利用したという意味合いでの利用率なのだろうか?
平成23年度の図書館の来館者数は255,828人。市民の20%が利用したということであれば、1人につき年間25.4回図書館に訪れていることになる。
そして、平成23年度の貸出合計は352,312冊で1人あたり年間34.9冊を借りていることになる。
上記の数字に関しては、一般的な公共図書館水準の平均値を越えているが、それほどおかしな数値ではない。
しかし、「図書館の利用」という意味で考えるのであれば、それは何も「書籍の貸出」には限定されないはずである。
書籍の貸出におけるデータを統計化するのは、さほど難しいことではないが、「市民が利用した」という数字の根拠として正しいのだろうか?
そして、貸出実績ではなく実際の来館者数から市民の利用率を計測する方法は恐らく存在しない。
樋渡市長の「非公式」な情報の出所はどこなんだろうか?
主な出展データ:佐賀県の生涯学習・社会教育