Fakeな統計
2013年5月1日に武雄市図書館・歴史資料館 来館者数が本日正午10万人突破というリリースがCCCから発表された。
これ、統計を知っている人なら理解出来ると思うのですがヒドイのですよ。
2012年(平成24年)度(昨年)のデータと2013年(平成25年)度(今年)のデータを比較しているのですが、先ず昨年度データは現時点で公表されていないものなのです。
武雄市に関して言えば統計データの信頼性が欠ける発表を毎度しているので、CCCの今回のデータも信用に値しないと思っているわけですが、更に現時点で公開されていないデータとの比較情報なので、一体何を信用して良いのやら?という感じです。
※参考:佐賀県武雄市の問題について:takeoproblem>03:武雄市図書館>05:アンケート
しかし、昨年と今年の公式な統計データは存在しませんので、CCCのデータを基準に考えようと思ったわけですが、リリースを見た瞬間にヒドイのですよ。
対前年度比のパーセンテージに注目していただくと、累計の部分と1日平均の部分でパーセンテージに差異があるのがわかると思います。
『累計÷1日平均』で計算するとわかりますが、2012年度の開館日数は28日で2013年度は30日なわけですから、累計数字のパーセンテージに差異が出るのが当然なわけです。
統計データを扱う際の公平性を考えるならば、こういう誤読を誘う提示の仕方はしません。
来館者数467%・貸出数206%という数字だけでも、前年度比を見せる際には充分であるにも関わらず、開館日数が違うため比較するべきではない累計データを出す必要性は無いでしょう。
こういう出され方をすると「そうしなければいけなかった意味」というのを裏読みしたくなるのが人情ですね(笑
では、期待に応えて裏読みしてみましょう。
2012年(平成24年)度の公式なデータが存在しませんので、2011年(平成23年)度のデータとCCC発表のデータで比較してみます。
※以降、平成年度で統一。
先日書いた貸出冊数は伸びているのか? のデータから変化のある部分としては、貸出のための登録者数のパーセンテージ。
前回の市長のブログでは「市内56%・市外44%」だったものが、今回の発表では「市内53%・市外47%」になっています。
というわけで、「市民の利用」という観点からその割合を概算で代入し、単純計算をします。
平成23年度データ
1日あたりの来館者数:867人
1日あたりの貸出冊数:1,194冊
CCC発表の現時点のデータ
1日あたりの来館者数:3,312人
1日あたりの貸出冊数:1,866冊
そして、CCC発表データの内の市民の割合(概算値)
1日あたりの来館者数:1,755人
1日あたりの貸出冊数:989冊
平成23年度の公式な統計データと、CCCの発表データに市民の割合を概算値として代入したものを比較すると、来館者数は倍になっているものの貸出冊数は減少している結果になりました。
個人的には「貸出至上主義」な考え方を持ってはいませんが、この数値を見る限りでは現在来館している方々の目的は図書館では無いようです。
ネット上の声を拾う範囲では、武雄市の図書館に関して「図書館としての賛美の声」は聞こえてきません。
聞こえてくるほとんどがスターバックスや見栄えへの賛美。
そして、内装こそ変化はあったものの、基礎となる建物は10年前に建てられたものです。
佐賀県武雄市の問題について:takeoproblem>03:武雄市図書館>08:旧図書館に関して
現状の登録者のパーセンテージの件も含め、これが樋渡啓祐市長の言うところの、市民価値や市民福祉の向上になっているのでしょうか?
※5/2追記
CCCの発表データのパーセンテージ表示が、小数点以下が明示されているものと、されていないものがある。こういう表記の仕方も普通はしないよね?