武雄市図書館のデータを開館当初で比較する Part.3
前回のPart.2で武雄市の図書館が、現在の建物で開館した平成12年度の数値を算出しました。
ちなみに、改修前の図書館の様子については、こちらをご覧いただければと思います。
佐賀県武雄市の問題について:takeoproblem > 03:武雄市図書館 > 08:旧図書館に関して
平成12年度の数値として重要になってくるのは、
貸出利用人員:45,022人
来館者に対しての貸出利用割合:26.28%
貸出1回あたりの貸出冊数:3.41冊
この3つになり、特に重要な数値が赤文字で示した部分となります。
何故、この3つが重要かというと、CCCのリリースに存在していない数値であり、また発表された情報からは求めることが出来ないものだからです。
『武雄市図書館のデータを開館当初で比較する』というタイトルで、Part.1・Part.2と続けてきましたが、ようやくPart.3で本論の冒頭に入ることになります。
長い前置きですみません(笑
CCCからリリースされたデータは、前年同月比で出されているわけですが、「オープン直後の華々しい期間」ということを比較の要素として加味するのであれば、平成12年度のデータと比較するほうが公平性があるだろうことについては、恐らく異論を差し挟む余地は無いかと考えます。
また、一例として人口に対しての利用登録者数の推移をグラフ化したものを提示しますが、比較されるCCCが発表した今回の改装後の数値に対して、平成12年度のデータが特に優位ではないことも納得いただけるだろうと思います。
ちなみにこのグラフは対人口で算出しており、武雄市が市町村合併する以前に関しては、合併された山内町と北方町の人口を加算しています。
実際には『日本の図書館 統計と名簿』によると、合併前の奉仕人口は山内町と北方町の人口を抜いた数字だったのですが、その数値で算出すると平成12年度の登録者数の割合が初年度であるにも関わらず40%に近い数字になってしまいます。
そのため、データとしての公平性を保つべく、公表された奉仕人口ではなく純粋な人口比で計算しております。
では、CCC発表のデータに推測値として平成12年度のデータを代入して、諸々の数字を算出してみたいと思います。
来館者に対しての貸出利用割合の数値を代入してみる
先ず、CCC発表のデータに平成12年度の「来館者に対する貸出利用人員の割合」である26.28%を代入してみたいと思います。
下にこの割合の推移グラフを示しますが、平成12年度から平成23年度にかけて、緩やかな上昇傾向ですので、平成12年のデータを利用することは特に問題は無いでしょう。
CCC発表のデータである、2013/4/1~4/30の来館者数、99,358人の26.28%は、
99,358✕26.28%=26,111.2824
となり、推測値として26,111人が貸出利用をした計算になります。
CCC発表データの貸出冊数である55,987冊から、求められた数値で1回あたりの貸出冊数を求めると、
55,987÷26,111=2,14419....
となり、貸出1回あたりの貸出冊数は2.14冊ということになります。
上に示したグラフはPart.2で利用した平成12年度~平成23年度の1回あたりの貸出冊数の推移グラフです。
上記の元になるデータの平均値は3.99冊になるのですが、そこには遠く及ばず、また平成12年度の数値である3.41冊にも満たないことになります。
あまりにもPart.1でご指摘をいただいた数値との乖離が大きいので、貸出利用人員の部分に違う数値を代入してみたいと思います。
CCCリリースデータに存在する「利用登録者数:13,909人」という数字です。
貸出冊数をこの利用登録者数で除算すると、
55,987÷13,909=4.02523.....
となり、ほぼ平成12年度~23年度の平均値と同等になります。
しかし、この利用登録者数を貸出利用人員とイコールであると仮定すると、来館者数に対しての貸出利用の割合は、
13,909÷99,358=0.1399887.....
となり、来館者に対しての貸出利用割合は約14%と、これまた異常に低い数値になってしまうのです。
この差異の部分から「純粋な図書館のデータ」と「商業施設としての集客効果」を分ける可能性があるのではないか?という推論を立てることが出来ます。
それを更に検証するために、CCCのデータに平成12年度の1回あたりの貸出冊数を代入した考察をするわけですが、長くなると書き手も読み手も混乱するので、続きは次回ということで。