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思いつ記

武雄市図書館の市民の利用率

武雄市の図書館問題の中で、よく話題になる「市民の利用率」の話。

上記の発言は佐賀県武雄市の樋渡市長が徳島大学で行った、徳島ICT研究協議会での講演において「市民の図書館利用率は1%」という発言があったことを受け、それを質問した人に対しての回答のTweetである。

 

ちなみに、徳島ICT研究協議会講演については諸々の問題が出ているが、ここでは触れないので興味のある方は以下を参照していただきたい。

佐賀県武雄市の問題について:takeoproblem > 07:徳島ICT研究協議会での講演問題

 

講演においての「1%」発言に関しては、あの市長のウケ狙い発言であろうことは、毎度のことなので理解出来ないでもない。

ところで、彼の言うところの「非公式に聞いて18~20%」という数値は何を根拠にしているのだろう?

 

こちらは、昨日書かれた樋渡市長のブログである。

CCC×武雄市図書館効果で来館者5倍、7万人

この中に、「利用者登録者数:12,525人」という記述がある。

 

以前、佐賀県から公表されている統計データを元に武雄市の旧図書館の検証をしたことがあったが、その統計データには利用登録者数の記載は無かった。

武雄市図書館:「利用者数がどんどん減っている」発言の真実

 

そこで、以前に武雄市に開示請求をかけた方の資料を紐解いてみたところ、その中に「個人登録者数:36,184人」という記述を見つけた。

武雄市図書館システム仕様書[PDF] ※「武市教文生第92号開示」

平成24年3月31日ということは、平成23年度実績ということになる。

 

平成23年度の統計データによると武雄市「人口:50,410人」なので、人口に対しての登録率は71.8%となり、この数字は「市民の利用率」ではない。

単純に考えれば、市民の20%ということは10,082人ということになるわけだが、個人登録者のうちの27.9%が書籍の貸出を利用したという意味合いでの利用率なのだろうか?

 

平成23年度の図書館の来館者数は255,828人。市民の20%が利用したということであれば、1人につき年間25.4回図書館に訪れていることになる。

そして、平成23年度の貸出合計は352,312冊1人あたり年間34.9冊を借りていることになる。

上記の数字に関しては、一般的な公共図書館水準の平均値を越えているが、それほどおかしな数値ではない。

 

しかし、「図書館の利用」という意味で考えるのであれば、それは何も「書籍の貸出」には限定されないはずである。

書籍の貸出におけるデータを統計化するのは、さほど難しいことではないが、「市民が利用した」という数字の根拠として正しいのだろうか?

 

そして、貸出実績ではなく実際の来館者数から市民の利用率を計測する方法は恐らく存在しない。

樋渡市長の「非公式」な情報の出所はどこなんだろうか?

 

主な出展データ:佐賀県の生涯学習・社会教育