武雄市図書館のデータを開館当初で比較する Part.4
前回の『武雄市図書館のデータを開館当初で比較する Part.3』では、平成12年度の『来館者に対する貸出利用人員の割合』を代入して考察してみましたが、今回は「貸出冊数を貸出利用人員」で割った数値の『1回あたりの貸出冊数』をCCCのリリースの数値に代入しての考察を行いたいと思います。
ある程度、統計の感覚をお持ちの方は、前のエントリーから感覚的に「おかしな数字が出てきそうだ」という予感があると思います。
ところが、その期待を裏切る妥当な数字が算出されます。
しかし、結果としては期待を裏切るようなことは無い考察結果ではないかと思います(笑
今回は貸出冊数を推測値として代入してみる
Part.2で算出しましたが、平成12年度の1回あたりの貸出冊数は3.41冊になります。
平成12年度~23年度の平均値は3.99冊ですが、ここでは平成12年度の数値を代入します。
CCC発表による貸出冊数は55,987冊ですので、
55,987÷3.41=16,418.47507....
となりますので、推測値の貸出利用人員は16,418.48人となります。
この数値を「貸出利用人員」であると仮定した場合、来館者全体からの貸出利用人員の割合は、
16,418.48÷99,358=0.165245....
となり、全体の来館者のうち貸出利用をした割合は16.52%という結果になりますので、平成12年度の26.28%から比較すると、概算値としてほぼ10%低下していることになります。
ちなみに、下のグラフはPart.3で利用した、平成12年度~23年度の「来館者に対する貸出利用者の割合」を示したものです。
平成12年度~23年度の平均割合は30.72%ですので、約半分の割合になってしまいます。
しかしながら、Part.3で利用した推論である「来館者に対する貸出利用人員の割合」を代入し1回あたりの貸出冊数を求めることや、利用登録者数を貸出利用人員と仮定する方法よりも、「現実に即しているのではないか?」と考えています。
何故ならば、平成12年度の武雄市の図書館は「公共図書館としての機能」のみで存在しており、改装後の図書館は「商業施設が付帯している」ため、その商業施設のみを利用している人が存在しているであろうことは、想像に難くないわけです。
その推論をベースに考察すると、平成12年度の「1回あたりの貸出冊数」と、その数値を代入して求められた「来館者に対する貸出利用人員の推定値」を、CCCの数値に代入することで、改装後の来館者のうち「純粋に公共図書館を利用している人数」を仮説として求めることが可能となります。
純粋な図書館利用者の仮説
武雄市図書館における「純粋な図書館利用者」を求めるための仮説です。
- 改装後の武雄市図書館において、貸出利用者の1回あたりの貸出冊数は平成12年度のデータである3.41冊と仮定する。
- 改装後の武雄市図書館において、推測値の貸出利用人員は改装後の全体の貸出冊数から上記の数値を代入して求めた16,418.48人とする。
- 改装後の武雄市図書館において、「純粋な図書館利用者」のうち貸出利用をしている割合は平成12年度のデータである26.28%とする。
では、上記の仮説数値をCCCがリリースしたデータに代入してみましょう。
考え方としては、「純粋な図書館利用者」の26.28%が16,418.48人になれば良いわけですね。
16,418.48÷26.28%=62,475.19025....
となり、改装後の「純粋な図書館利用者数」は、62,475.19人という推測値となります。
では、この推測値を開館日数の30日で割ってみましょう。
62,475.19÷30=2,082.5063333.......
ですので、改装後の1日あたりの「純粋な図書館利用者」は2,082.51人の推測値となります。
実は、これに近しい数値を私は一番最初の『武雄市図書館のデータを開館当初で比較する』で提示しています。
平成12年(2000年)11月に発行された武雄市広報の図書館開館直後のデータ。
1日あたりの入館者数が2,077人なのです。
推論を利用した考察ですが、特に無理な部分は無いと思いますし、適正な数値を算出出来たと思っています。
もしも、今回の上記の推論が「おかしい!」ということになったとしたら、このPart.4に至るまでの推論を適応することになるわけですが、公共図書館の指標数値としては過去の数値を下回るものになってしまいます。
さて、この数値から更に算出すると、改装後の来館者数である99,358人から、推定値の「純粋な図書館利用者数」となる、62,475.19人(約62,475人とします)を減算した人数の、36,883人が「商業施設の利用者」であると考えることが出来ます。
晩酌をしながら書いておりますので、これ以上続けると算数を間違える可能性があるため(笑)、そこからの考察は次回とさせていただきます。
ちなみに、この考察はまだまだ続きます。
何故かと言えば、CCCのリリースにある数値として、利用登録者の市内と市外の割合を一切考慮していないからです。